| ●エアレンディルの物語 ルシアンがシルマリルを手にして戻ったことは、しかし、ノルドオル族の王子たちを奮い立たせ、中つ国では、五回目の合戦が計画されます。しかし、エルフたちはこの合戦で大敗してしまいます。その戦いの時、フィンロド・フェラグンド王の死に際して、彼の行動を理解せず、彼を死に追いやったとして今はオロドレスを王とするフィナルフィンの一族は参加しなかったのですが、フィンゴンフィンの一族は加わり、フィンゴンフィンの長男、フィンゴンもこの戦いで戦死します。フィンゴンの弟、トゥアゴンは、人間のハドオル王家の子、フーリンとフオルに守られて、なんとか、本拠地である隠れたる国ゴンドリンに逃げ込みます。フーリンとフオルの子供たちの物語も語られますが、それはとても悲惨なもので、それゆえに、トゥアゴンは、エルフの姫である自分の娘、イドラル・ケレブリンダルが、フオルの息子である人間のトゥオルとの婚姻を望んだ時、シンゴル王のように、これを拒んだりはしませんでした。これが、人間とエルフの二度目の婚姻となり、イドラルとトゥオルの間にハーフエルフの息子のエアレンディルが生まれます。エアレンディルが七歳になった時、ひそかにイドレルを妻に狙っていたトゥアゴンの甥、マイグリンが裏切って、ゴンドリンは陥落。トゥオルは息子を連れてゴンドリンを逃れ、シリオン川の下流でエルウィングを連れたディオル一族の残党と合流します。その後、トゥアゴンも死に、王の称号は、死したトゥアゴンの兄フィンゴンの息子のエレニオン(別名・ギル=ガラド、別名で呼ばれる時のほうが多い)のものとなります。 エアレンディルとエルウィングは結婚し、ふたりの間には、エルロンドとエルロスというふたりの息子が生まれます。これが裂け谷に住まう、あのエルロンドで、エルロンドが兄、エルロスが弟です。 エアレンディルは海に焦がれ、この中つ国で風前の灯火であるノルドオルのエルフたちとエルフの友である人間のエダインの運命をなんとかしたいと考え、キアダンに協力してもらって、ヴィンギロドという船を建造します。彼は父と母の魂が向かったアマンの地、西方のヴァリノオルを捜しますが、辿り着けず、戻ろうとしても向かい風が許さない、という状況に陥ります。その間に、エルウィングがシルマリルを持って生き伸びている、と知ったフェアノオルの息子たちにまたしても襲いかかってきます。エルフによるエルフたちの三度目の殺害の戦いがまたしても行われ、フェアノオルの生き残った四人の息子のうち、アムロドとアムラスがこの戦いで死にます。ギル=ガラドとキアダンが救援に向かいますが、その時には、エルロンドとエルロスは捕らわれて連れさられ、エルウィングはシルマリルを胸に抱いて海に身を投げた後だったのです。 エルウィングは、海の神ウルモによって白い鳥に身を変えさせられ、航海中のエアレンディルのもとへと辿り着きます。ふたりの息子が捕らわれ、エルウィングの兄たちと同様に殺されたと思ったエアレンディルとエルウィングは絶望し、シルマリルを船の舳先につけて、西へと向かいます。すると、ついに西方の神々の地に辿り着くのです。そこでふたりは中つ国におけるモルゴスの暴虐を訴え、エルダールとエダインを助けて欲しい、と訴えます。ヴァラアルの神々はその訴えを聞き、アマンのエルフたちを引きつれて、中つ国に攻め込み、ついにモルゴスは滅ぼし、残りのふたつのシルマリルも取り戻します。ヴァラアルの神は、フェアノオルの息子の最後の生き残りの、マエズロスとマグロオルに、父の誓言を捨てるようにと諭しますが、ふたりはあくまでも拘ります。 そこで、ヴァラアルはふたりにふたつのシルマリルを与えるのですが、シルマリルはふたりの手を焼き、マエズロスはそれを抱いたまま火の山に身を投げ、手を焼かれたマグロオルはそれを海へと投げ捨ててしまいます。 エアレンディルは、定められた命を持つ人間の血を引く者でありながら、不死の者しか行けない西方の地を踏んでしまったために、中つ国には二度と戻れなくなります。けれど、船の舳先にシルマリルをつけて、それ以外の地はどこへなりとも航行することを許され、その光は明け方や日の入りにきらきらと光る……すなわち、西方の星、宵の明星、明けの明星となります。従って、三つのシルマリルは、空と、水と、火の中に帰っていったことになるのです。 中つ国へと渡ったエルダールのエルフたちは、希望する者はすべて、西方の地アマンへと戻ることを許されます。けれど、ガラドリエルやギル=ガラド、フェアノオルの巧みな技巧を一番受け継いだ息子のクルフィンの子であるケレブリンボオル、などのエルフたちは、中つ国に残留します。 また、無意味な殺害にすでに倦んでいたマエズロスによって殺害を免れ、大切な養育されて生き延びていたハーフエルフのエルロンドとエルロスの兄弟には、この時、ヴァラアルの神から、エルフとして生きるか、人間として生きるかを選ぶように、との選択を迫られます。 エルロンドはエルフになることを選び、エルロスは人間となることを選び、エルロンドもまた、弟とともに中つ国に残ることを希望します。 こうして、クウェンタ・シルマリルリオンの物語は終わります。 ……と、ここまでざっと概略を書きましたが、あくまでも、これは概略です。で、こ の概略を知って読んでも、この『シルマリルの物語』は読みにくいことに変わりありません。 ほんっと、これほど読みにくい本も珍しいのですが、でも、読み込んでいくと、細部があまりにいろいろとあるので、だんだん、はまっていきます。 |